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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第6章 伍の巻
 公子が固まった。先刻以上に、もう見ているのも可哀想なくらい真っ赤になる。
「私がそんなことを寝言で―?」
 公之が来たのにも気付かず眠りこけていて、その上、そんな馬鹿げた寝言を口走っていたなんて―。恥ずかしくて、死んでしまいたいくらいだった。
 身の置き場もない心地で、あまりの恥ずかしさにじんわりと涙さえ出てきた。
「姫、もしかして―、泣いているのですか?」
 公子の涙に気付いた公之が狼狽える。
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