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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第6章 伍の巻
 丁度、公子は文机に向かって書き物をしていたところであった。

 秋空雲流
 何在彼方
 雲唯流消
 鳥行何処
 我心亦然
 
 秋の空に雲は流れ
 彼方には何が在らん
 雲はただ流れて消え 
 鳥はいずこにへと行かん
 我が心もまた然り
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