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ネコの運ぶ夢
第7章 七夕に願うネコ
☆☆☆
というわけで、電車で一駅、市街地のデパートにやってきた。

婦人小物売場にたどり着く。あまり来たことがないが、日傘とはここで売っているのだろうか?
見慣れない服屋やバック売り場などを尻目にあちこち視線を彷徨わせる。いかん、こういったところで買い物した経験がないものだから、どこに何があるのかさっぱりわからない。

「市ノ瀬さん?何を探しているんですか?」
ひょこっと横から音子が顔を出す。
「ああ、ええっと、日傘をな」
「男の人も使うんですか?」
「いや、お前のだ」
言うと、音子は目を見開く。いや、そんなにびっくりしなくても。

「いやいやいや・・・音子は・・・お金を持ってません!」
「知ってるよ。俺が買ってやろうと思ってるんだ」
「そんな!だ・・・ダメです!お洋服や帽子、靴まで買ってもらって、日傘もだなんて・・・そんな・・・そんな・・・。」
「いや、今日は買ってやる。そう、決めてきたんだ。たまにはプレゼントしてもいいだろうが!」

まあ、反対はするだろうと予測していた。
音子は極端なまでに俺に金を使わせることを恐れる。物質的なものをねだることはまずない。服や下着も、「ずっと同じじゃあ俺が困る」と言って、説得に説得を重ねてやっと買わせたくらいだ。
なので、今日は反対しても買ってやろうという、強い気持ちで来た。

「そんなの・・・そんなの・・・ダメです・・・よ・・・。」

ん?なんだか、反対の声が尻すぼみになっていくような・・・。いつもなら、もっと強固に反対するだろうに・・・。
そして、とうとう、うつむいてしまう。俺のジャケットの端をギュッと握りしめたまま動かなくなった。

しまった・・・やりすぎたか?!

ところが、そういうわけではなかったようだ。そのまま(服の裾を掴んだまま)音子は大人しくついてくる。

・・・なんだ?なにか、また、踏んだか、俺?
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