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ネコの運ぶ夢
第1章 捨てネコ
「お前・・・馬鹿だな・・・あっちにお前が寝るんだよ」
「ダメです。ここは市ノ瀬さんのお家で、音子は居候です。市ノ瀬さんが布団で寝てください」
そう言って、グイグイと俺の身体をリビングに向かって押し始めた。
その後、そんなわけにいくか、いや、市ノ瀬さんの家ですから、という押し問答を3〜4往復した挙げ句、仕方がないので、布団を半分ずつ使うことで決着した。
布団の半分にコロンと横になる。もちろん、大分、音子の方を広く開けた。
「ダメです・・・市ノ瀬さんが布団から落ちてしまいます」
ぐいと音子が俺の身体を引っ張る。仕方がなく、半分まで体を寄せる。
音子に背中を向けているものの、音子の体温が伝わってくるくらいの距離だ。
そして、声の感じ、吐息の様子から、音子はどうやらこっちに身体を向けているようだ。
一体どういうつもりだ・・・。
まあ、考えないようにしよう。
ん?そういえば・・・。
「お前、なんで俺の名前知ってんだ?」
「はい・・・表札を見ました。市ノ瀬直行さんですね。」
なるほど・・・。頭が悪いわけではないようだ。
「そういえばお礼がまだでした」
そう言うと、するすると俺の身体の前に手を回してくる。ちょうど後ろから抱き抱えられている格好だ。それなりに存在感のある胸が背中に押し付けられる。
「音子は・・・市ノ瀬さんに助けられて、嬉しかったです」
そのまま、おでこをトンと背中に付けてきた。
薄い夏の夜着越しに、音子の熱い体温が伝わってくる。
ふわりと女性らしい匂いがする。
身体の前に回された音子の右手がお腹のあたりを撫で、さらに下に降りてくる。
俺はその手を掴むと、そっと背中に戻した。
「なんでですか?」
音子が尋ねる。
「そんなつもりじゃないから」
それだけ答えると少し、音子から身体を引き離した。
音子も追ってくるようなことはしなかった。
「ごめんなさい」
「別に・・・もう寝ろ」
そして、今度こそ、本当に、俺は眠りに落ちていく。
こんな風に、誰かの体温を感じながら眠りにつくのは一体いつ振りだろうと考えたような気がした。
「ダメです。ここは市ノ瀬さんのお家で、音子は居候です。市ノ瀬さんが布団で寝てください」
そう言って、グイグイと俺の身体をリビングに向かって押し始めた。
その後、そんなわけにいくか、いや、市ノ瀬さんの家ですから、という押し問答を3〜4往復した挙げ句、仕方がないので、布団を半分ずつ使うことで決着した。
布団の半分にコロンと横になる。もちろん、大分、音子の方を広く開けた。
「ダメです・・・市ノ瀬さんが布団から落ちてしまいます」
ぐいと音子が俺の身体を引っ張る。仕方がなく、半分まで体を寄せる。
音子に背中を向けているものの、音子の体温が伝わってくるくらいの距離だ。
そして、声の感じ、吐息の様子から、音子はどうやらこっちに身体を向けているようだ。
一体どういうつもりだ・・・。
まあ、考えないようにしよう。
ん?そういえば・・・。
「お前、なんで俺の名前知ってんだ?」
「はい・・・表札を見ました。市ノ瀬直行さんですね。」
なるほど・・・。頭が悪いわけではないようだ。
「そういえばお礼がまだでした」
そう言うと、するすると俺の身体の前に手を回してくる。ちょうど後ろから抱き抱えられている格好だ。それなりに存在感のある胸が背中に押し付けられる。
「音子は・・・市ノ瀬さんに助けられて、嬉しかったです」
そのまま、おでこをトンと背中に付けてきた。
薄い夏の夜着越しに、音子の熱い体温が伝わってくる。
ふわりと女性らしい匂いがする。
身体の前に回された音子の右手がお腹のあたりを撫で、さらに下に降りてくる。
俺はその手を掴むと、そっと背中に戻した。
「なんでですか?」
音子が尋ねる。
「そんなつもりじゃないから」
それだけ答えると少し、音子から身体を引き離した。
音子も追ってくるようなことはしなかった。
「ごめんなさい」
「別に・・・もう寝ろ」
そして、今度こそ、本当に、俺は眠りに落ちていく。
こんな風に、誰かの体温を感じながら眠りにつくのは一体いつ振りだろうと考えたような気がした。