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ネコの運ぶ夢
第2章 寂しいネコ
「音子が洗い物をします!せめて、せめて」
と言うので、まかせてみた。見ていると、なかなか手際よく洗ってくれている。しばらく見てて、大丈夫そうなので、俺は自分の準備をすることにした。

髭を剃り、髪をとかし、着替えをする。この季節は軽装でいいので、ワイシャツとパンツで出勤だ。カバンを持って、玄関ではたと考えてしまった。

「美鈴さんは、その・・・昼間はどうするんですか?帰ら・・・ない?」
洗い物を終えて、ダイニングで新聞を見ていた音子は、顔をあげると、「帰る」という言葉に反応し、またじわっと目に涙を浮かべる。

「音子は迷惑をかけませんので、ここにいてはだめですか?
 暑くても扇風機も冷房も使いません。お家の中でじーっとしています。なんなら呼吸も最小限に・・・。だから、だから・・・・!」
必死に訴える。

やっぱり・・・。
俺はちょっと嘆息する。
「暑かったら冷房をつけてください。体に悪いです。
 もちろん呼吸もしてください。
 ここに鍵を置いておきますので、もし出かけるときには、鍵はかけてくださいね。あと、お昼ごはんはお金をおいておきますから、近くのコンビニで買ってください。」

一応、貴重品と呼べるものは全てカバンに入れて持って出るので、まあ、問題はないだろう。
若干の不安はあるが、俺は音子を置いて仕事に行くことにした。
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