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エリート妻色情飼育
第97章 第六章 大嫌いな男
「あんな奴・・大っ嫌い・・・」
帰宅後に一人きりの夕食をとりながら、何度も呟いていた。

それは寂しさの裏返しでもあった。
離婚してからの一人暮らしは、当初は夫との争いの日々から解放されたこともあって快適だった。
だが、日々を重ねるうちに一人寝の寂しさが辛くなっていたのだ。

そう。
裕子は人一倍、寂しがり屋だった。

幼い頃から両親に愛されて育ったこともあり、大学入学と同時に親元を離れたことが凄く辛かった。
学生結婚をした理由の一つだったのかもしれない。
夫はセックスには淡泊だったが、一緒にいてくれる温もりが裕子には嬉しかったのだ。

離婚して改めて一人暮らしを始めると、泣きたくなるような寂しさが心を包んでいた。
気丈にふるまえば振る舞うほどに。

※※※※※※※※※※※※※※※

『よう、来てくれたなぁ・・・』
『ひっ・・・』

皺がれた両手で自分の手を掴まれた時ですら、悲鳴をあげながらも幸造の手の温もりが嫌ではなかった。

※※※※※※※※※※※※※※※

あの時の気持ちを思い出すと、唇を噛んでしまう。
何か、男に心の純潔を奪われたようで悔しいのだ。

「あんな奴・・大っ嫌い・・・」
気持ちを打ち消すように呟きを繰り返す。

秋元幸造。
巨大グループ「秋元薬局」の総帥。

絶対にこの男に心を許してはいけないと。
自分を戒める裕子だった。


第一部 裕子の事情(完)
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