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エリート妻色情飼育
第14章 第十三章 密談
「あの子はマゾやな・・・」
幸造の顔が不敵に歪む。

「ほぉ・・・?」
普段通りの冷静な表情で悟が聞いた。

スコッチの氷がカラリと溶けた。
広いリビングのホームバーでグラスを傾ける二人は、密談のような会話を楽しんでいる。

「先天性やな・・素質十分や・・・」
幸造は嬉しそうにバーボンを煽っていく。

底抜けに酒が強い。
首筋まで真赤にしながらも、ガウンを着込んだ老体はシャキッとしている。

とても六十を越えている風には見えない。
悟も酒に強く、グイグイと煽っている。

幸造は一人息子である悟と、こうして二人きりで飲むのが好きであった。

アメリカへ留学に出していた頃は寂しかったが、優秀な成績で帰国して会社の一員になるとメキメキと頭角を現した。

親の七光りという中傷など吹っ飛ぶ程に良く働き、斬新なアイディアも次々と出していくのだった。
秋元グループの成長は加速度を増し、業界で大きくのし上っていった。

悟も父が好きであった。

相変わらずの下品な関西弁に象徴される、アクの強い商法で業界の嫌われ者であったが、その戦略は的確に消費者のニーズに応えていたのだ。

中途半端な理論などクソ食らえだ。

幼い頃から父の苦労を見ながら育った悟は、決して自分の人生に腐る事なく前向きにぶつかっていく幸造を愛していた。

そして共に会社を大きくして復讐する事を誓うのだ。
世の中に、全ての女に。

しかし、そうは言っても女性に対して悟はフェミニストであった。
何時も敬愛の情の篭った態度で接し、評判も良かったのだが決して心までは許さなかった。

幼い頃に見た母の不倫が、鮮明に切なく脳裏に焼き付いているからだ。

だから今回の計画で思いついた残虐な罠を、幸造と楽しそうに練っていけるのだった。

それと春香の美しさには悟も衝撃を受けていた。

あのまま見合いをすれば、キッと好きになっていた事だろう。
そして多分・・・傷つくのだろう。

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