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愛しのバニー~Bad Romance~
第2章 つうさん
たしかに始めは、
単に性的な鬱憤を晴らすことができれば
それでよかった。

だから、
顔見知りのいない
離れた場所まで出向いて
沢山の商売女を求めて歩いた。



妻とは、家庭内別居が続いている。

仕事ひとすじの喜田は、十六年前、
長女が生まれたときも
その働きぶりを変えることはなかった。

産褥期の不安定な時期を
孤独に過ごした喜田の妻は、

家庭を顧みない夫に
早々に見切りをつけた。


長女が中学に上がるころ、
妻は急に身なりにかまいだし、
外出が増えた。

娘に聞けば、
男のところだと平然と答えた。

自分が招いたことでしょ、
と軽蔑の眼差しで吐き捨てるように娘に言われて

やっと、
喜田は自分のしてきたことに気が付いた。

だがすでにおそかった。

家庭はもう修復できないところまで壊れていた。

修復するにしても、
修復後のカタチを喜田は描くことができなかった。

はじめから家庭など、そこには存在していなかったのだ。


妻は、同じ役所の元職員であり、
職場の元上司の娘に当たる。

上司から仕事ぶりを認められ、
ぜひ娘を、と託された手前、
簡単に離婚などできない。


家庭での居心地の悪さと、
仕事の重圧から、
いつしか喜田は心のよりどころを求めるようになっていた。

自分のありのままを認めてくれる存在が欲しい。

そんなときに出会ったのが、
「ピーチ」のうさぎの滑らかな肌の温度だったのだ。



いつしか喜田は、
うさぎを心で求めるようになっていた。

自分を全肯定してくれる笑みを湛えた瞳と、
柔らかな肌は、
喜田にとって生きる救い、
とまでは言わずとも、
生きる糧であった。



───俺たちの関係は、今日で最後だ


所詮俺たちは、
不純な動機で出会っている。

最初から結ばれるはずもないのだ。

ほのかな恋心と期待を胸に秘め、
うさぎのもとに通い続けた自分が馬鹿馬鹿しく、
腹立たしくさえ感じた。

喜田は半ば投げやりに、
うさぎの体を蹂躙するような気持ちで思い切り両脚を開かせた。

微かに怯えを見せたうさぎの瞳から、喜田は視線を反らした。
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