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愛しのバニー~Bad Romance~
第3章 うさぎ 2
もうどうせ、
喜田はピーチで自分を指名することもないのだ。

ならばもう、
あの狭苦しい控室で男を待つ必要などない。

うさぎは内心、そう思っていた。

本当は、喜田に出会ってからというもの、
うさぎはひたすら喜田が来るのを待っていた。

喜田のことが、好きになっていたのだ。

喜田は、
うさぎの変わった性癖など吹き飛ばしてくれた。

喜田が触れてさえくれれば、
最後まで行かずとも心も体も満たされた。

だけど、そんなことは言えない。

喜田の身に着けている小ぎれいな服や下着を見るだけで、
きちんとした家庭があると知れた。

だから叶わぬ恋だと分かっていた。
そして、この関係に終わりが来ることも分かっていた。

スーツのジャケットを羽織り、
うさぎは喜田と向かい合った。
深く一礼して背中を向けた。


ドアノブを回したとき、喜田が立ち上がる気配がした。

「うさぎ」

呼び止め、
足早に追うと背後からうさぎを抱きしめた。

抱きすくめられ、
うさぎの胸の奥から熱い塊がこみ上げてくる。

ふるえる唇を噛んで涙をこらえた。

喜田が引き留めてくれた嬉しさに、
まぶたが熱くなってしまう。

喜田は、うさぎの耳元で囁いた。

「うさぎ、僕が君の・・・」

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