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ココロのアナ
第11章 過去

その日の会話は少なく
「ご飯は?」
「お風呂は?」
「おやすみ」
支障の無い言葉ばかり。
きっと旭も気を使っている。
寝る部屋は別で
旭は俺が寝室に行くまで
何も言わずリビングにいた。
寝室に行くのを確認し自らのベットに向かう。
翌朝…
旭は仕事を休み俺とソファに座る。
何をするわけでもなく
ただソファにもたれかかり
珈琲を口にする。
「行きたいところがある」
険しい表情で「何処?」と。
「父親の墓参りに…
明日から仕事復帰だしな
その前にと思って」
「だから…車が必要だったの?」
「あぁ…」
旭は立ち上がりコートを取り
行くぞと言わんばかりに
俺に向かって投げつける
慌てて支度を済ませ車に乗り込む
「聞いていい?」
「なにをだ…」
「家族の事…
嫌なら言わなくていい」
俺は過去を話した。
あの時暗闇で見ていた映像をそのまま。
「だからホモになったの?」
突っ込むとこソコかよ…
違うよな…
きっと空気変えてくれたんだ…
父親の墓の前に煙草を置く…
癌だったにも関わらず止めなかった
きっと死ぬ事分かってたから
好きなもの止めなかったんだと思う。
ごめん…父さん…
今日も俺は父さんに謝る。
車に戻ると旭はシートを倒し寝ている。
昨日…寝れなかったんだな…
起こさないように
寒空の下起きるのを待った。
旭…ごめんな…
何度もココロの中で謝った。

