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天狐あやかし秘譚
第74章 比翼之鳥(ひよくのとり)
だからこそ、死返玉の適合者である麻衣をこちらの手の内において、緋紅が出張らざるを得ない状況を作り、全力で首魁を叩く、そういう作戦にしたはずだった。

今、陰陽寮の本庁及び京都支所からは多数の応援の陰陽師たちがこの地に向かってきているところだ。

時、場所、神宝、そして適合者

4つの条件が揃う必要がある以上、敵はそこまで何もできないはずだ。
あるとすれば・・・。

「麻衣を、取り戻しに来るかもしれない・・・と?」
それは、可能性としてはあることだ。ただ、限りなく低いと考えている。陰陽寮の全戦力に等しいといっても過言でないほどの精鋭がここに集結している。現在確認されている神宝使いが全員束になってかかってきたとしても、向こうの損害は甚大なものになるだろう。黄泉平坂を開くだけなら、素直に現地に戦力を集結した方がまだしも成功率が高い。

あるとすれば・・・

「わいらが知らんことがある・・・かもしれん」

そう。それだ。瀬良は思った。

どういうわけか、緋紅ら『まつろわぬ民』は神宝のことを熟知している。それに対して、私達、陰陽寮側はあまりにもその知見に乏しい。
さらに言えば、麻衣が死返玉の適合者ではなくて、もっと別の役割を果たしている可能性だってあるのだ。そうだとすると、今夜中に麻衣を取り戻すための、もう一回の襲撃があるという可能性もゼロではない・・・ということだろうか?

「そうだとしたら、なおさらです。土御門様は戦力の要、見張りは私が引き受けますので、お休みになるべきです」

この建物自体がすでに大鹿島による多重の結界で覆われており、さらに土門の夜魂蝶も周囲に展開されている。左前もいくつか呪的トラップを仕掛けている。少しぐらい休んでも大丈夫な態勢は取られているのだ。

「いや、どうにも胸が騒いで休まれへんねん。いっそこうしておった方が楽やさかいな。瀬良ちゃんこそ、休んどき。いざという時、頼りにしてるから」

わざとおちゃらけて、そういうことを・・・。
まあ、これまでのことを考えて安心できない、ということなのだろう。
だったらせめて・・・。

「土御門様がお休みにならないのなら、私もご一緒します」
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