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天狐あやかし秘譚
第102章 一気呵成(いっきかせい)
さて、涼華に話を戻そう。

涼華に付けられた『印』は『モノ』が滅びたことでその効力を失ったようだった。一応、陰陽寮に連れていき、土門さんなどにも見てもらったが、『大丈夫なのです!』とお墨付きがもらえた。

ただ、その『印』を通して、彼女は10年来『モノ』の瘴気に晒されていたわけだし、何よりも母親を異形の獣に食われた記憶を取り戻してしまったということもあったので、念の為1週間ほど宮内庁病院に入院して精査を受けることになっていた。その後は、状態に応じて怪異被害専門のカウンセリングなど、適切な治療に繋げられるといっていた。

さて、もう一つの問題は母についてである。

実は、気絶した母が目覚めるまで、母が『モノ』を見ていたらどうしよう・・・と不安に思っていた。もし見ていたら、私の職業も含めて全てのことを話さなければならないかと覚悟をしていたのだ。しかし、幸運なことに、母は公園に入ってからのことを全く覚えていなかったのである。

母の認識としては、『女性の悲鳴が聞こえたけ、慌てて公園に入ったら、貧血で倒れとったみたいなんよ』ということだった。

もし、母が私の今の仕事のことを知ったら、きっと心配するに違いないので、この認識はそのまま利用させてもらうことにした。

こうして一件落着をしたところで、涼華のことは陰陽寮に任せ、私は母を連れて綿貫亭に戻った・・・というのがあの日あったことだった。

ことだった・・・のだが・・・
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