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天狐あやかし秘譚
第32章 【第8話 市民の木】一意専心(いちいせんしん)
☆☆☆
「だから!玉置さん・・・分かってくださいよ。あの樹はすでに危険なんです。この間もすでにけが人が・・・!」
頭髪がえらく寂しくなった中年の男性が泣きそうな顔をして老婆を説得しようとしていた。広場に野次馬が集まり始めたので、老婆の家の玄関先に場所を移したのだ。

「ええい!わたしゃ許さないよ!こっから見えるんだからね!あの市民の木は。あんたらが切ろうとすればあたしゃすぐに飛び出していって追っ払ってやるんだから!」
ただ、先程と同じく、玉置と呼ばれた老婆は一向に聞き入れようとしない。両手を組んで三和土の上に仁王立ちをしていた。

はあ・・・。男がため息をつく。
「玉置さん・・・お願いです。私も市役所をずっとは抑えておけないんですよ。このままでは、彼らは強制執行をする、と言ってるんです。」
ふん!と玉置がそっぽを向く。
「やりたきゃやりゃいいさ!あたしが死んでも守るから!だいたいね、あの樹は、ずっとずっと昔からあそこにあるんだ。誰の邪魔にもなっていない。それにな、神様が住んでんだよ・・・切ったら祟られっぞ」
「またまた・・・」

だめだこりゃ・・・。男はため息をまたひとつつくと、玉置の家の玄関を後にした。

「おととい来やがれ!」
玉置の元気な怒声がうなだれる男にさらに追い打ちをかけた。男が去っていくのを満足そうに見送ると、玉置は引き戸を閉めようと玄関に降りた。

「あのお・・・」

『私』が玉置に声をかけたのは、ちょうど、その時だった。

「なんだい?あんたは」
玉置が『私』の頭から足先まで舐めるように見てきた。今は、そんなに変な格好をしていないはず・・・だけど?

ああ、そうか。この人の子は『私』を『警戒』しているのかもしれない。
確か、こういう時は・・・。
拙いが、人の子と生活を共にして得た知識、清香や芝三郎といっしょに『てれび』とやらを眺めて得た知識を思い出そうと努める。
確か・・・そうか・・・。

「ん?なんの真似だい?」
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