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天狐あやかし秘譚
第4章 霖雨蒼生(りんうそうせい)
目を覆いたくなる、耳を塞ぎたくなる凄惨な事件だ。昨日の夢も合わせて、最期のときに彼女が感じた感情を思うと、涙が溢れてくる。彼女の心残り、私に流れ込んできた一番強い感情は・・・母親を守れなかったという後悔だった。

ネットには清香ちゃんの生前の写真がアップされていた。可愛らしい、どこにでもいるような普通の女の子だった。

その普通の4歳の女の子、清香ちゃんが目の前で母親を殺されて、それを助けられなかった自分を責め続けているのだ。11年間も、たった独りで。

私は図書館をあとにした。フラフラと宛もなく歩き回った。一応、不動産屋さんもいくつか巡ってみたが、希望が希望なのと、自分自身も気合が入らないこともあり、もちろん不発だった。

考えはすぐに清香ちゃんのことに移ろう。・・・ダリは、どうすることもできない、と言っていた。多分そうなのだろう。その後の報道によれば、時本は終身刑。未だ刑務所にいる。悪の根源に罰は下され、社会的には終わった事件だ。

清香ちゃんの母親である美穂の幽霊は周囲にいなかった。もしかしたら、すでにダリが言うところの『常世』にいるのかもしれない。

清香ちゃんだけが、独りでいる。
未練を残してあの場所に縛られ続け、そして、魂を削られ続け、苦しんでいる。

「そんなのって・・・ないよ・・・」

何か・・・せめてなにかできることは・・・。
無意識に、私の足はあの公園に向いていた。
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