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許される条件
第16章 夫の温もり
2023年10月21日 AM10:00
「ふふっ・・・」
夫の、優君の腕の中で私は小さく笑った。
「なに・・・?」
隠したつもりだったのに、気づいたのか問いただされた。
「初めて会った時・・・」
私は隠すこともなく、正直に話した。
これは。
付き合ってからも口にしたことは無かった。
「優君・・小さなワンちゃんみたいだった・・・」
「えっ・・・?」
妻の言葉に僕は驚きの声を出した。
「だってぇ・・・」
僕の腕に抱かれながら絵美がむず痒そうに呟く。
「いつも、オドオドして・・・」
「あぁ・・・」
妻の言う通りだった。
大学に入学したての頃、僕は劣等感の塊りだった。
廻りの皆が大人びて、都会の香りがしたからだ。
地方出身の僕は。
ただでさえ、引っ込み思案なのに。
高木なんかの自信満々の奴らの迫力におされて。
地味なモブキャラでいた記憶がある。
「どうして・・・?」
僕は妻に聞いた。
「僕と付き合ってくれたの?」
ずっと聞きたかったことだ。
学園のアイドルで。
眩しいほどの絵美が僕の彼女になってくれたなんて。
今でも。
信じられないことなのだから。
「だってぇ・・・」
絵美は僕の胸に顔を擦り付けるようにして。
少し、ジッとした後。
顔を上げて、囁いたのだった。
「可愛いい・・と、思ったんだもん」
僕は。
妻の身体を。
ギュッとしたのでした。
「ふふっ・・・」
夫の、優君の腕の中で私は小さく笑った。
「なに・・・?」
隠したつもりだったのに、気づいたのか問いただされた。
「初めて会った時・・・」
私は隠すこともなく、正直に話した。
これは。
付き合ってからも口にしたことは無かった。
「優君・・小さなワンちゃんみたいだった・・・」
「えっ・・・?」
妻の言葉に僕は驚きの声を出した。
「だってぇ・・・」
僕の腕に抱かれながら絵美がむず痒そうに呟く。
「いつも、オドオドして・・・」
「あぁ・・・」
妻の言う通りだった。
大学に入学したての頃、僕は劣等感の塊りだった。
廻りの皆が大人びて、都会の香りがしたからだ。
地方出身の僕は。
ただでさえ、引っ込み思案なのに。
高木なんかの自信満々の奴らの迫力におされて。
地味なモブキャラでいた記憶がある。
「どうして・・・?」
僕は妻に聞いた。
「僕と付き合ってくれたの?」
ずっと聞きたかったことだ。
学園のアイドルで。
眩しいほどの絵美が僕の彼女になってくれたなんて。
今でも。
信じられないことなのだから。
「だってぇ・・・」
絵美は僕の胸に顔を擦り付けるようにして。
少し、ジッとした後。
顔を上げて、囁いたのだった。
「可愛いい・・と、思ったんだもん」
僕は。
妻の身体を。
ギュッとしたのでした。