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過去を塗りかえて
第16章 結末
2023年11月8日 PM4:00
「藤田さんっ・・・」
会社のエントランスロビーで待っていた絵美が、大きな声を出しながら駆け寄った。
「待っていたんですよぉ・・・」
男の手を取り、嬉しそうに言う。
チラリと振り返ると若い男がベビーカーと五歳くらいの男の子と女の子を横に並べ、小さく御辞儀をした。
「夫の・・夫になった優君と・・・」
興奮で上気した頬を赤く染めて、絵美が言葉を繋ぐ。
「長女の唯奈、長男の健太、
そして・・次男の歩です」
夫の傍に寄り、二人の子供を愛おしそうに抱きしめている。
男は即座に理解をした。
健太が沙也加の子供だったことを。
「あれから・・・」
絵美がゆっくりと説明した。
過去は塗りかえられ、絵美と優太は結ばれた。
お腹に宿した唯奈は無事に育ち、沙也加の息子の健太もスクスクと育った。
もっとも。
沙也加と宏は企みが暴かれて、そのままなし崩しに結婚したのだが。
浮気癖の尽きない宏に愛想をつかした沙也加は息子を置き去りにして消えた。
泣きついた宏に頼まれた絵美と優太は赤子だった健太を引き取り、養子にしたのだった。
優太は健太と初対面だったにも関わらず、昔から親子だったのように愛した。
くしくも二人共に宏の子種だったが、少しも気にはならなかった。
絵美の、妻の証言を信じるならば時空を超えて自分のために決断してくれたのだから。
そして、二人の本当の子供でもある次男も授かったことだし。
めでたし、めでたし。
・・・かな?
皆様は。
どう。
思いますか?
それでも。
二人の子供の肩を抱きながら。
身体を預ける妻の重みを。
心地良く想う、夫の優君なのでした。
「藤田さんっ・・・」
会社のエントランスロビーで待っていた絵美が、大きな声を出しながら駆け寄った。
「待っていたんですよぉ・・・」
男の手を取り、嬉しそうに言う。
チラリと振り返ると若い男がベビーカーと五歳くらいの男の子と女の子を横に並べ、小さく御辞儀をした。
「夫の・・夫になった優君と・・・」
興奮で上気した頬を赤く染めて、絵美が言葉を繋ぐ。
「長女の唯奈、長男の健太、
そして・・次男の歩です」
夫の傍に寄り、二人の子供を愛おしそうに抱きしめている。
男は即座に理解をした。
健太が沙也加の子供だったことを。
「あれから・・・」
絵美がゆっくりと説明した。
過去は塗りかえられ、絵美と優太は結ばれた。
お腹に宿した唯奈は無事に育ち、沙也加の息子の健太もスクスクと育った。
もっとも。
沙也加と宏は企みが暴かれて、そのままなし崩しに結婚したのだが。
浮気癖の尽きない宏に愛想をつかした沙也加は息子を置き去りにして消えた。
泣きついた宏に頼まれた絵美と優太は赤子だった健太を引き取り、養子にしたのだった。
優太は健太と初対面だったにも関わらず、昔から親子だったのように愛した。
くしくも二人共に宏の子種だったが、少しも気にはならなかった。
絵美の、妻の証言を信じるならば時空を超えて自分のために決断してくれたのだから。
そして、二人の本当の子供でもある次男も授かったことだし。
めでたし、めでたし。
・・・かな?
皆様は。
どう。
思いますか?
それでも。
二人の子供の肩を抱きながら。
身体を預ける妻の重みを。
心地良く想う、夫の優君なのでした。