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第7章 アイドルの闇オークション

遠くからミサの声が聞こえてくる。

「こっちに帰って来たんでしょっ!？起きなさいっ!!」

まるで母親のような怒鳴り声に、ビクッとして目を覚ました。

「また……失敗したのか……」

気が付くと、パソコンの前に座っている智樹。

「失敗したとか、そんな次元の問題じゃないでしょっ!!貴方って最低ね……。
怖いから逃げようとするなんて、人間失格だわ。」

ミサの説教に、ただただ項垂れて「すいません……」と何度も繰り返した。

「あの蜂の巣キモメガネ見た？」

髪型が蜂の巣みたいなメガネ……？

奈菜ちゃんに結婚しようって飛び付いて、ボロボロにされた奴か……

増税クソメガネのパロディだろうか……？

それはさすがに、モジャモジャ頭に失礼だろ……

そんなツッコミを入れたかったが、言える空気ではない。
思いっきり失敗して帰ってきたのだから。

「見たけど……何か？」

「あの蜂の巣エロメガネは、あんな見た目で、子供の頃からずっと、女はもちろん、男からも相手にされてなかった。
でもたった１つの癒しが奈菜ちゃんだったの。
派遣の夜勤で頑張って溜めたお金で、奈菜ちゃんを助けようとしたんだから。
蜂の巣デカ頭の方が、貴方の1000倍カッコいいわ……」

あだ名が派生して、あまり話が入ってこない智樹。

「ウソだの、恩着せだの、クソだの、派生したけど……見た目をいじって笑いを取る時代は終わったから、やめようか……ミサ……」

「そうね。ごめんなさい」