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雨が好き
第32章 嵐の夜

【嵐の夜】
夏にはあまりやってこなかった台風だったが、
秋になって立て続けに日本列島を縦断した。
雨の日も、風の日も、蒼人さんのお仕事場の泊まりの仕事はある、と言っていた。
何度か過ぎた台風の日はたまたま蒼人さんの当番ではなかったようだったが、
次にやってくる台風はちょうど蒼人さんのお当番の日にこの町の上を通る。
夕ごはんを食べながら、そんなニュースを聞いた時、
私はなぜかわからないけど、胸がざわざわとした。
そんな予報が出た次の日、蒼人さんが『みなと町』に来てくれた。
「台風・・・そうか、たしかに僕の泊まりの日だ」
私が心配すると、蒼人さんは笑う。
「大丈夫だよ。僕もこの仕事始めてから長いから。」
たしかに嵐の日は崖崩れが起きたり、人が行方不明になったりと、
事故が起きる確率は高いという。
「でも、それが仕事だから」
そう言って彼は、アイス・カフェラテを一口飲んだ。
彼が言った言葉が、私の中で蒼人さんの前の恋人の言葉に重なる。
そのせいか、私の胸は、さっきとは違う形で
ざわり、とした。
夏にはあまりやってこなかった台風だったが、
秋になって立て続けに日本列島を縦断した。
雨の日も、風の日も、蒼人さんのお仕事場の泊まりの仕事はある、と言っていた。
何度か過ぎた台風の日はたまたま蒼人さんの当番ではなかったようだったが、
次にやってくる台風はちょうど蒼人さんのお当番の日にこの町の上を通る。
夕ごはんを食べながら、そんなニュースを聞いた時、
私はなぜかわからないけど、胸がざわざわとした。
そんな予報が出た次の日、蒼人さんが『みなと町』に来てくれた。
「台風・・・そうか、たしかに僕の泊まりの日だ」
私が心配すると、蒼人さんは笑う。
「大丈夫だよ。僕もこの仕事始めてから長いから。」
たしかに嵐の日は崖崩れが起きたり、人が行方不明になったりと、
事故が起きる確率は高いという。
「でも、それが仕事だから」
そう言って彼は、アイス・カフェラテを一口飲んだ。
彼が言った言葉が、私の中で蒼人さんの前の恋人の言葉に重なる。
そのせいか、私の胸は、さっきとは違う形で
ざわり、とした。

