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雨が好き
第46章 お買い物
迷いなく、売り場にいく。
彼女が目指したのは、紳士の洋品を扱うフロアだった。

「蒼人さ、マフラー持ってないんだよね」
今年は寒そうだから、と。

水際さんは、ひとつひとつマフラーを取り上げ、
その質感を確かめたり、遠目に色を確認したり、
時折、自分で巻いてみて、鏡で確認したりする。

丁寧に、丁寧に・・・。

ファッションの勉強をしているから、考えることが多いのかもしれない。
でも・・・だけど・・・。

その表情は、その顔は・・・。
さっき、コーヒーミルを見比べている時の様子も、
マフラーを選んでいる、真剣な眼差しも・・・。

『ああ、本当に蒼人くんのことが好きなんだなって
 真剣に、一生懸命、
 好きな人のことを考えているって顔している』

お父さんの言葉が胸をよぎる。
お母さんへの初めてのプレゼントのことを教えてくれたときの顔。
頬を染めて、目がキラキラしてて、
きっと心の中で、その人のことをいっぱい考えていて、
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