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雨が好き
第111章 お祈り
二人で参道の階段を見上げる。
左右に赤い木造りの灯籠。
蒼人さんに手を取ってもらいながら上ると、
趣のある古いお社にたどり着いた。

「すごいですね・・・」
ほう、とため息が出る。

そこにあるのは、背後に鎮守の森を背負った大きな社だった。
空気までもが、しんと静まり返っている気がする。

「みなとさんの家の近くの神社の雰囲気に
 似ていますね・・・」

蒼人さんが言った。
そう、かもしれない。
古い感じ、静かな感じが似ている。

蒼人さんといっしょに、お参り。
柏手を打って、深く、深くお辞儀をする。

左手に「御神木」と書かれた立派な樹がそびえていた。
「シナノキっていうらしいですね」

日本の固有の木なんですよ、とか
このあたりに多く生えていたので、信濃の樹から「シナノキ」になったんですよ、とか

いろいろ、教えてくれる。
そのたびに私は、そうなんだ、と頷いた。

樹のお医者さんの勉強をしているので、
山とか、樹とかにとても詳しい。

ああ、やっぱりすごいな、って思ってしまう。
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