この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
お題小説 labyrinth(心の迷宮)
第1章 ラビリンス(labyrinth)

17
わたしは母親との最後のお別れだなんて思いもせずに、夢中になって砂場で遊んでいたのだった…
そして気付いた時には母親の姿はとうに消えていて、わたしはあの夢のように狼狽え迷子になったのだ。
「あ、え…」
だが、記憶の迷宮のウネリにのまれてしまっている今…
「あ、じゃ、も、もしかして?」
ある思いが浮かび上り、ハッとして、彼、いや、弟、ううん…
わたしは蒼の顔を見た。
すると蒼は…
「うん…多分、碧姉さんの思っている通りだと思うよ」
と、確信したような顔で呟いてくる。
「え、あ、そ、そうなの?」
もうそんな、わたしの想いが蒼に分かるという不思議さは感じなくなっていた…
だってわたし達は双子なんだから、だからお互いの想いや考えは自然と伝わるはずだから、いや、そうだと思えてきていたのだ。
そして…
「うん、そう、多分、いや、オレもあの公園に居たはず…
それでオレは父親と最後の別れを…」
と、蒼が言ってきた。
「うん…そうね、そうに違いないわ…」
だって今、わたしの記憶には、いや、あの夢の風景には…
わたしは迷子になったわけではなく、父親と手を繋いでいる情景が浮かんできていたから。
そして、おそらく、弟の蒼の脳裏にも、母親と手を繋いでいる情景が浮かんでいるはずなのだ…
「きっとさ、オレも姉さんもさ、幼いながらも両親の離婚という事実をさ、訳は分からないままにもなんとなく理解した…
いや、心の中に封印しちゃったんじゃないのかなぁ…」
と、蒼が言ってきた。
「うん…そうなのかもしれない」
だってわたしは祖母からは…
『本当に碧はママの事は訊いてこなかった不思議な子だったよ…』
と、昔からよく云われてきていたから。
おそらく幼いながらも、色々と考え、そして訳は分からないままに、心の奥深くにしまった、いや、封印したんだと思う…
だってわたしは母親がいないという事に、今の今まで、なぜか考えようとはしてこなかったのだから。
そして、今、この目の前にいる弟と言ってくる蒼も同じだったんだなと、なん
となく理解できていた…
いや、双子だからきっとそうなんだろうと自然に思えていた。
それに…
もう、双子だという事実を疑っては、いや、信じていたから。
だって…
わたしは母親との最後のお別れだなんて思いもせずに、夢中になって砂場で遊んでいたのだった…
そして気付いた時には母親の姿はとうに消えていて、わたしはあの夢のように狼狽え迷子になったのだ。
「あ、え…」
だが、記憶の迷宮のウネリにのまれてしまっている今…
「あ、じゃ、も、もしかして?」
ある思いが浮かび上り、ハッとして、彼、いや、弟、ううん…
わたしは蒼の顔を見た。
すると蒼は…
「うん…多分、碧姉さんの思っている通りだと思うよ」
と、確信したような顔で呟いてくる。
「え、あ、そ、そうなの?」
もうそんな、わたしの想いが蒼に分かるという不思議さは感じなくなっていた…
だってわたし達は双子なんだから、だからお互いの想いや考えは自然と伝わるはずだから、いや、そうだと思えてきていたのだ。
そして…
「うん、そう、多分、いや、オレもあの公園に居たはず…
それでオレは父親と最後の別れを…」
と、蒼が言ってきた。
「うん…そうね、そうに違いないわ…」
だって今、わたしの記憶には、いや、あの夢の風景には…
わたしは迷子になったわけではなく、父親と手を繋いでいる情景が浮かんできていたから。
そして、おそらく、弟の蒼の脳裏にも、母親と手を繋いでいる情景が浮かんでいるはずなのだ…
「きっとさ、オレも姉さんもさ、幼いながらも両親の離婚という事実をさ、訳は分からないままにもなんとなく理解した…
いや、心の中に封印しちゃったんじゃないのかなぁ…」
と、蒼が言ってきた。
「うん…そうなのかもしれない」
だってわたしは祖母からは…
『本当に碧はママの事は訊いてこなかった不思議な子だったよ…』
と、昔からよく云われてきていたから。
おそらく幼いながらも、色々と考え、そして訳は分からないままに、心の奥深くにしまった、いや、封印したんだと思う…
だってわたしは母親がいないという事に、今の今まで、なぜか考えようとはしてこなかったのだから。
そして、今、この目の前にいる弟と言ってくる蒼も同じだったんだなと、なん
となく理解できていた…
いや、双子だからきっとそうなんだろうと自然に思えていた。
それに…
もう、双子だという事実を疑っては、いや、信じていたから。
だって…

