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悪いオンナ…2
第1章 【美大生の僕は魅力溢れる彼女に心奪われて…】





———更に1年後



大きなコンクールの大学生部門にて、僕は大きな賞を取る事が出来た
珍しくスーツに身を包み、髪も切り、オシャレにセットなんかして、眼鏡もやめてコンタクトになった僕を誰もが見違えただろう
表彰式でマイクの前に立ち、トロフィーを手に、受賞した喜びを語る



前回入賞した片翼の絵が、今回は女神の背に生やし飛び立とうとしている絵に仕上げた
少しだけ見える女神の横顔は幸せに満ちている
そしてその女神こそが、僕の愛した人
実はあれから、僕たちは再び離れた



制作期間は集中して欲しい、との事だった
僕は目に焼き付いて離れない彼女の面影だけを頼りに精魂を注いで描き上げた
勿論、完成までは見せない、という約束で
表彰された事も彼女は今日、知る事になるだろう
大学内でも大きなニュースになっているはずだから



作画のタイトルは “ 幻想 ”
僕にとって、彼女は幻想そのものだった
最初からこのタイトルで描こうと決めていた



「ガク…!」



アトリエに戻ったら、彼女がやって来た
久しぶりに見るお互いの顔
相変わらず綺麗だな
益々綺麗になって、周りの男が放っておかないのもわかる
駆け寄って来た彼女は迷う事なく僕の胸に飛び込んでくる
それを抱きとめる僕も迷いはない



「表彰式、格好良かった、おめでとう、ガク」



凄い、前髪短い…ってイメチェンした僕をマジマジと見てる



「多希だけを想って描いた…」



「うん、一目でわかったよ、ありがとう…」



額をくっつけて再会を噛み締め合う



「あのさ……」



こんな未来を手にしたのも僕
例えそれが不幸せな結末だとしても
自ら望んで手を伸ばしてしまった
きっと僕は、この先もずっと
ズタボロに傷付けられたとしても
同じ選択を繰り返すんだろうな……






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