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ヴェノナ文書(戦時中の共産スパイ資料)考/文学・文芸と共産
第1章 ヴェノナ文書(戦時中の共産スパイ資料)考1
近ごろに文庫化された「ヴェノナ」(解読されたソ連の暗号とスパイ活動)の上巻を読み中。元旦から読んでまだ半分くらいだし(暇なのと内容の興味深さで早い方だろうが)、全部や下巻までちゃんと読むかもおぼつかない。
どんな内容かと言えば、一種のルポルタージュな現代史の研究本(アメリカの書籍の翻訳)で、(アメリカの機関が)二次大戦中の暗号文を解読していて「ソビエト(ロシア)が大掛かりなスパイ活動をやりまくっていた」というもの。元来がスパイ調査・捜査のための手がかりであるために、戦後も長く存在が秘匿されていて、前世紀の終わりにようやく(古くなって現在の調査のために有効な資料というより、むしろ歴史資料としてこそ重要になったため)公になったのだそうだ。
 
だが、少し考えれば(筆者から直接に指摘されずとも)おかしいところが多々ある。
まず第一に「(決定的な証拠である)ヴェノナ文書が公には伏せられていたため、専門家たちはロシアのスパイ活動を軽度の被害・脅威でしかなかったと見做した」(要約)そうだが、それだと「学者・有識者たちは軒並みにバカだった」ことになる。そもそも、官憲・捜査当局関係者たちから断片的にでも脅威について聞いていて(実際に公に検挙もあった)、それを多少とも信用していたら、そんな楽天的な結論・定説になるわけがない(わざと偏向的にやったとしか思われない)。当時から(学者・メディアなどが)腐っていたとしか思われない。
第二に、この本は十年も前に邦訳されていて、今回は文庫化・再刊である。その間、日本の学者や言論人たちがだんまりしていたのは異常である(左翼・在日メディアだけでない)。アメリカにこうまで悪質な工作されていたのならば、日本にもやられていたと考えるのが自然である(つまり、戦争激化させた犯人が別にいた?)。日中戦争にしても、発端の盧溝橋事件は共産党(劉少奇)の工作だから、共産党が日本に戦争責任云々を言うこと自体がおかしい(しかし専門家たちはだんまり)。
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