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溶け合う煙のいざないに
第3章 欲望の赴くままに

 ああ、照明暗くても今ならよく見える。
 限界だとばかりに興奮が滲んだその眼、たまんない。
「……鐘二、さん」
 ぞぞっと肺のあたりがくすぐったい。
 関係性を進化させる瞬間は何度でも慣れない。
 ていうかそれを求めてベッドに乗ってるまである。
 そのよくできましたって表情が似合いすぎるんだよな。
 視線がすっと下半身に落ちて、視認するまで気づかなかった昂りに息が止まる。名前を呼んだだけで反応するなんて笑われてしまう。
 肩を掴んでいた右手が頬を優しく撫でて、瞬きをしたら涙が滲んだ。
 二回も果てたというのに快感を求めて天井をむいたそれを、どうしてくれるのかと期待が募る。手で、口で、それとも、放置。
 どれでもいいから、はやくして。
 頬を離れた手が腹をなぞりながら陰毛に触れる。
「剃った方が、楽しめるぞ」
 小指で弄ぶように毛を逆立ててから、きゅっと手のひらで包み込む。
「うあ……え、今?」
「今? 今がいいの?」
「ちっが、今は違う今は違う……もう、止まりたくない」
「もちろん」
 指の腹で張りを確かめるようにスライドし、親指と人差し指でカリを締める。
「んっ……あ、だめ、すぐ出る……」
 皮ごと優しく上下されて、急いで脚を閉じる。
 腕が呑まれて、勢いでぎゅっと絞られ腰が跳ねる。
 だめだ、口を押さえてないと。
 左手を噛むように口に押し付ける。
「わかったから脚開け」
 手を開きながら小指の爪が後孔に触れる。
「ああっ」
 散々浴室で弄られたそこはもう、入口から敏感になっている。
 ベッドを軋ませながら、鐘二が胸元に顔を近づける。密着した全身が互いに汗ばんでるのに気づいて口が緩んでしまう。脚を掴まれてぐっと当てられた熱の塊に呼吸が荒くなる。
「……十秒待てたら、逝くまで突いてあげる」
 脳を揺らす声に嫌だと縋りつきたくなるけど、頭上に伸ばされた手が何を取っているのか察して素直に頷いた。歯で破いた空のゴミは頭上に戻され、ちゅく、とジェルを塗り付ける音がする。
 頭の中で数えていた自分も情けないが、さっきの感触が消えないうちに、ゴム越しのソレがぐぐっと入ってきたのが嬉しすぎた。
「っは、あ」
 ずぷりと容赦ない挿入に声が上擦ってしまう。
 やっぱ指なんかと全然違う。
 全部埋めてくれるこのぎちぎちじゃないと。
 でも、まだ全部入ってない。
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