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第89章 無断外泊

「おお、梨果。とっても美味しいよ。」

「本当？！嬉しい。おかわりもあるからたくさん食べて。」

「この半年でかなり成長したんだね。」

「いろいろあったからね。」

「いろいろか……」

「……うん。」

好きな人ができてその人の為に頑張って。
そしてその人に全てを捧げて……

「今日のクロッキー会は彼らに任せきりだったけど梨果は大丈夫だったのかい？」

「えっ？……ああ、うーん。」

「一体なんなんだいあの水着は。ヌードは無しとの事だったけどあれじゃ余計に卑猥だ。」

「あはは……あれは富山さんの仕業なんだよね……」

「強くなったな梨果。モデルとして洋子さんとはまた違った貫禄を感じたよ。」

「えっ、そう？！というと？」

「洋子さんは凛として描き手に邪な気持ちを与えない隙のなさがある反面、梨果は描き手を虜にしてしまう凄さを感じたよ。」

「えへへ、そうかなぁ。」

「梨果……」

「……な、なに？」

真剣な顔になる父。

「……食事が終わったら描かせてもらえないか？」

「えっ？」

「ゆっくり梨果を描きたい。」

「うーん、でも怖い……」

父に肌を曝して襲われたことを思い出す。しかも今は２人きり、もし襲われても誰にも助けてもらえない。

「もう絶対に手を出したりしないと誓うよ。」

「う、……うん、でも……」

「頼む！梨果。昼間見た今の梨果の美しさが忘れられない。すぐに描いておきたいんだ。」

老け込んでしまったと思っていた父が以前のように爛々とした瞳を見せた。

「……わかった。」

そう言うととても喜んでくれた。父が喜ぶ姿が私としてもとても嬉しく思ってしまう。