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レッスンの仕方が間違っている!
第8章 3次審査まであと3日
 功の後ろの方から、物凄い勢いで階段を下りる音がした。
 階段は壁同様石造りであったため音がよく響く。
 だから湊が此方に向かっていることはわかった。

「カットカットーーー!!」

 湊が2人の間に割り込んで叫ぶ。

「あ、功兄に湊。」
「だから言ったのに兄さん……守衛のじぃさんにも伝えた筈なんだけど……?」

 奏太は台本を一瞥してから功、湊と順に見てから功に再び目を向けた。

「功兄、つばきって誰?」
「あ、えーと、最近できた友達。」

 やべぇ……目が見れねぇ。
 ドアなんか比じゃねぇよ。
 怖い!
 マジで怖い!

 功は身体こそ奏太を向いているが、目は泳ぎっぱなし。
 奏太は先程から湊の方を見向きもせず、ただ自分の兄をニコニコして見ていた。
 一方の湊は知らぬ間に、大広間の様に開けた部屋のソファーで寝そべって戦線離脱。

「なんで目を合わせてくれない訳?久しぶりの再会なのに……」

 必殺技の潤々攻撃を早速仕掛けてくる。

「あぁ、お前演技うまくなったな~って。」
「全然カンケー無くない?ふふふふっ……」

 その笑いが怖いんだって、奏太さん。
 お兄ちゃんはそんな風に育てた覚えはありません!!

「まぁ、どーせすぐに週刊誌に晒されるからカンケーないけど?」

 とても実弟の台詞とは思えない切り返し。
 奏太は先程より一層笑みを携えて、落ちた荷物を拾い始めた。

 やっと解放された。
 確かにいずれは……
 あぁ、その前にアイツが隣にくるか。
 そもそも男だ。

 功はそこで口許を緩ませた。
 幸い荷物を拾う弟には、それが見えていなかった。

 コイツもな~彼女でも作ればいいのに。
 ……ブラコンなんだよな。
 しかも俺でさえ自覚できる。
 いい加減独り立ちしてくんなくっちゃな。
 もう高3か、エスカレータはカンケーないとしたって。

 功はその場で頭を抱えたいくらいだったが、踏みとどまって拾うのを手伝った。
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