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レッスンの仕方が間違っている!
第9章 3次審査まであと2日
「2人で飲みに行った時に泰ちゃん珍しく酔ってね?そこで弟くんの話されたんだ~。今初めて思い出したけど。」
「泰知さんでも酔うんですか!?」
「ん~あの時は例外じゃないかなぁ?イロイロ大変な時期ではあったかも。」
「それで何を?」

 功はそれが早く聞きたかった。
 今日は六斗を急かしすぎているのも、本人自覚してはいた。
 だが奏太のことを思うと、聞かないではいられなくて。
 功の頭の中は、大きな罪悪感と少しの好奇心で渦巻いていた。

「これは弟くんに内緒ね?あと、泰ちゃんが酔ったことも!!」

 最期に付け足した台詞の方に、主な重点が置かれているような口振りだった気がするのは気のせいでない。
 しかし功には後者はともかく、勿論前者が大切だった。

「土下座されたんだって。」
「は?」
「弟くんに土下座されたんだって……」
「え!?」
「弟くんが学園に入ったのはいつだった?」
「夏休み前でした。」
「つまり春じゃなかったんだね?僕もそれを忘れてた……う~ん。」
「何か?」

 功には純粋な疑問だった。

「うろ覚えだよ?特寮生は毎年高等部1年の入学直前にしか募集しないって言ってた気がするんだ。しかも、カリスマ性がなんとかってゆー審査をパスしなきゃとか。酔が回ってて記憶に薄いけど……だから今、奏太くんが『彼処』に在ることは凄いことなんだと、今僕は思ってる。」
「他に何を?」
「うん。泰ちゃんが悩んでたのは、制度の規則を破ることだし、他の生徒にも示しがつかないとか……」
「それは、そうですよね。ましてや、親代わりの泰知さんの父親が学園長ともなると。」
「それを知る人からは、えこ贔屓って取られるのも可笑しくないからね。」
「泰知さんも、自分の独断で親がそんな目で見られるのは……」
「でも僕はそんな風には思わないよ。多分審査受けても受かってたよ。月9見てるけど、あれは弟くんの努力の賜物じゃない?」
「有難うございます。長話させてしまってすみません。RIKUさんがStarprojectのトップなのに。」

 功はそこで話を畳んだ。
 気付いたら此処に来て約1時間半が経過していた。
 この忙しい時期だけあって、他のスタッフに申し訳ないと功は思った。

「いーって!!お話に花咲かせちゃったのは僕だしッ?」

 立ち上がったデザイナーは、またいつもの笑みでウィンクしてきた。
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