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レッスンの仕方が間違っている!
第11章 3次審査当日
「ふ~ん、そんなこと言っちゃうんだあ?」

 残すは出るだけのドアの前で、椿はそんなことを言った自分に後悔した。
 でもその後悔は一瞬のことだった。
 振り返るとそこには、悲しそうに笑い……今までに見たこともない顔の男がいた。

 あぁ、これが近江 司なんだ。

 知りたくなかったけれどわかってしまった。
 悪者の素顔なんて……
 しなくていい後悔を胸に抱えて、椿はそのままドアを開けた。

「グイッ」

 ん?

「痛ッ、何す!?」

 抱き寄せられて、首元に強く吸いつかれた。

「またな……」
「トンッ」

 押されてそのままドアが閉まる。

「バタンー……」

 え?
 何だ、今の。
 『またな?』

 フリーズしたまま、出てきたドアを振り返る。

 そっそんなことより審査!!

 椿は急いでその場を駆け出した。
 幸い記憶していた道に間違いはなく、迷うことなく受付終了ギリギリに間に合った。
 しかし気になることがあった。
 受付嬢の第一声……

「絆創膏用意いたしましょうか?」

 初め何のことか理解不能だった。
 一応貰っておいて、後からトイレに向かった。
 そして今……

「これ……キスマーク!!!?」

 鏡に映る自分姿。
 首筋だけ赤い。
 指で触れると熱を帯びていることに気付く。

 もしかして、あの時?
 今まで痕つけられたことなかったから……って当たり前だって僕!
 ていうか、痛いし。
 あぁ、もう!
 功に見られる前でよかったーっ。
 あれ?何で功が出てくるんだ?
 あ~次から次へと……
 ひとまずあのお姉さんには感謝。

 胸を撫で下ろし、絆創膏を右の首筋に貼る。

 クスリはよくわかんないけど、もう始まるから多分セーフ?だと良いな。
 ここまで来たら何が何でもやりきる。

 髪を手で掻きあげて真剣な表情で向こうの自分と向き合う。

「よし、いける!」

 最後に自分に喝を入れてトイレを出た。
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