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レッスンの仕方が間違っている!
第5章 3次審査まであと6日
 はだけたYシャツにボタンをかけながら蘭は溜め息を洩らす。
 こんなこと彼らでは日常茶飯事と言ったら、蘭は怒って言い訳するかもしれない。
 言い訳だが。

「全くいつもいつも!」
「はいはい。あまりに可愛いから、つい。ね?」

 そんな簡単に可愛いなんて言うな!
 何その笑顔、反則だし!!
 今日は、収録まで時間あるからまだましだけど。
 はぁー。

「焦らされたんだけど、秘密って何?」
「んーまだ確定ではないんだけどね?」

 そこで歩きながら語り始める。

「マスコミもまだ知らないくらいディープなラインかな。」
「そんな重要なネタ!?尚更焦らすなよ、ばか優!」

 大きな声をあげてしまって、直ぐさま両掌で口を抑える。

「出所はうちの会社のスカウト陣からなんだけど。」
「うん。」
「話だと、うちのライバル会社のS★Pの話らしいんだ。」
「それって大体どこの会社でも毎年やるオーディションの関連?」
「察しが良いね。」
「もしかして……」
「そう、そのもしかしてが、もしかしてるかもしれないんだ。」
「おそらくあの子がジョーカなのはわかったけど……」

 思案顔で空を見る蘭。
 もう2人に冗談や、笑える雰囲気は微塵も無かった。
 真剣な眼差し。
 そう、仕事の顔だ
 やや沈黙があって、優が再び口を開いた。

「でもどーやらそれだけじゃ無さそうなんだ。」
「どーゆーこと!?」
「今回の審査は、KOUとユニットに選ばれる新人の発掘が主らしい。」
「ぇ……それじゃぁ。」

 優は黙って頷いた。

 そして2人が歩き始めてから、話を盗み聞きしている男が居た。
 勿論2人がその影に気付く様子は無い。
 収録先に向けて小声で話ながら歩くだけ。
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