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レッスンの仕方が間違っている!
第6章 3次審査まであと5日
「コイツはなぁ、テメェなんかに負けねェよ!!そもそも・・・・・・ストーリートに限らず、ダンスは勝負じゃねェんだよ!やるなら大会だけにしろ。」

 蘭は真人の言葉に反論の余地が無く、黙ってしまう。

 真人くんって、熱い人だったんだ。
 何か勘違いしてたかも。
 謝らなくちゃだなぁ。

「真人くん、もういーよ。本当はわかってたみたいだし。」
「椿、でもコイツはッ!」

 椿は首を横に振り、真人を一瞥して目を逸らす。

「クスッ・・・・・・いろいろごめん。あと、ありがと。」

 恥じらっていても、礼は目を見て言えた。
 椿は自分の為に怒ってくれた真人にあたたかい眼差しを向け、左肩を軽くポンと叩いた。

「そ、そんなに見んなッて。恥ずいからッ!!」
「ずるいぞー真人。お前ばかりー!!椿ぃ・スマイルを・・・・・・」
「何だよ、椿ィ・スマイルッて!!ネーミング・センスゼロッ!バーカ!!」

 赤面した真人は千歳にこずかれ、またいつもの顔に戻っていった。
 椿は再び蘭に向き直り、ゆっくりと歩み寄って行く。

「・・・・・・ぇ。」

 警戒と怒鳴られた羞恥心で、後ずさろうとしたが、彼女のプライドがそれを赦さない。

「ぅ・・・・・・近ぃ」
「あのさ、蘭ちゃん?」

 椿の身長は、実は功と変わらない178cm。
 そして蘭は165cm。
 椿は膝を軽く曲げ、蘭に目線を合わせた。
 椿の瞳の奥が笑う。
 怒った色は、すっかり消えていた。
 椿の手が、蘭の顔に向かって行く。

 ぇ、何!?やだっ!!

 蘭は目をギュッと瞑り、ただ何かを待った。

「グニッ」
「痛ッ!?」

 痛みに目を開け、顔を上げると・・・・・・頬っぺたに椿の両手がある。

「ぁ、ふぬッ」
「ダンスはね、楽しむものだよ?・・・・・・ふふッ」

 蘭が鼻先15cmで見たのは、今まで見たことないくらい無邪気で、清々しい笑顔だった。
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