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砂漠の王に捧げる夜 ―ただひとときでも、あなたの愛を―
第1章 夜伽なき王と、影の侍女

それはたぶん、嫉妬だった。
妃という存在に、自分が決してなれないと知っているから。
けれど王は、苦笑するように返した。
「あれは、形だけの妃だからね。」
手が震えそうになった。
それを誤魔化すように、編み終えた髪の先を、黒い輪ゴムで留める。
「……お待たせしました。」
王がそっと振り返り、微笑んだ気がした。
でも、目が合う前に、私は恥ずかしさに俯いた。
触れてはいけないものに、触れてしまった気がした。
でも――触れられて、嬉しかった。
妃という存在に、自分が決してなれないと知っているから。
けれど王は、苦笑するように返した。
「あれは、形だけの妃だからね。」
手が震えそうになった。
それを誤魔化すように、編み終えた髪の先を、黒い輪ゴムで留める。
「……お待たせしました。」
王がそっと振り返り、微笑んだ気がした。
でも、目が合う前に、私は恥ずかしさに俯いた。
触れてはいけないものに、触れてしまった気がした。
でも――触れられて、嬉しかった。

