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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第12章 いざ、情報収集のためにっ!

 いくら平日とはいえ、お昼時の飲食店はどこも賑わいを見せている。
 店内は満席とはいかなくてもそれに近い状態だった。
 須藤さんとあたしはカウンター席に案内されて座った。
 目の前では背中を向けて忙しなく厨房の人たちが行ったり来たりをしているのが見える。


「それで? 七瀬 姫美花の何が知りたいの?」
「――えっ?」
 もう訊いてもいいの?
 てっきり須藤さんのことだから条件突き出してきてデートの終わり掛けに話してくれるのだと思っていたからちょっとびっくりだ。
 驚いて見せると、須藤さんは片方の眉を上げた。

「いや、そんなに驚かれても。寧ろ澪ちゃんはそれが訊きたかったから俺の食事に付き合ってくれているんでしょうに」
「だって、条件突きつけてくるかと思って――」
 素直に話せば、「心外だなぁ」とまたもや苦笑いする須藤さん。

「俺は若い娘と楽しく会話しながら食事したいだけよ」
 続けて言った。

「……ふ~ん」
 なんか、胡散臭いけど、信じてやってもいいかな?

 疑いの眼差しを止めないあたし。
 あまりにも疑ってかかるものだから、須藤さんの機嫌を損ねたらしい。
「後にする?」

 えっ、それは困る!
 できるなら早いうちに姫美花さんの話を訊きたい。
「いえ、今でっ!」
 ダンッ! とカウンター席を乗り出して立ち上がるあたし。
 周りのお客さんからの注目度がハンパない。

 うっわ、やってしまった!!


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