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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第13章 危険な罠、ふたつの欲望の前にただ狂い咲く……。

 カウンターに寄りかかり、気軽に振る舞う須藤さんに対して、過去に何かあったのか、嫌悪感を露わにした男の人はあからさまに眉間に皺を寄せた。

 ただ黙ったままふたりのやり取りを見ていると、息子さんとあたしとの目が合った。

「へぇ、可愛い子じゃん? 大学生? こいつのセフレ? 須藤、お前は相っ変わらずサカってんな」
「そんなんじゃありませんっ!」
 あたしがすかさず否定する。
 息子さんは目をまん丸にしたまま固まった。
 それを横目に見ていた須藤さんはいったい何が面白いのだろう、クツクツ笑う。

「部屋貸して、あと、俺らを訪ねてもうひとり来ると思うから、通してやって」
「……マジかよ。親父にバレたらまた怒鳴りつけられるじゃん」
「今回はバレないから、さ」
「……402号室」

 ふたりの間には過去にやっぱり何かあったみたい。
 ふたりのやり取りでお父さんを怒らせたみたいだけど、あたしには特に関係ないし。
 あたしは敢えて何も突っ込まずにそれっきり口を閉ざした。
 須藤さんは息子さんから鍵を受け取ってエレベーターに乗る。

 402号室の鍵を開けて入った先――。
 すぐ右手にはブラックを基調としたシックな造りの浴室。
 玄関から入って見えるのが大きなベッド。
 目の前には大きなモニターが完備されていた。

 須藤さんは部屋に入るなり、早速電話を掛けた。
 相手はもちろん唯斗さん。


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