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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第16章 さようならを貴方に~誰かあたしを拾って愛して。

「っは、っは……」
 ドクン、ドクンドクン。
 心音が煩い。

 あまりにも跳ね上がりすぎて心臓が破裂するんじゃないかっていうくらい、鼓動し続けている。

「あっ、あっ、あっ!」
 荒い呼吸をどうにか鎮めようと必死だった。
 そんなあたしを余所に、足元の方からカチャカチャと何かを外す金属音が聞こえてくる。
 暗くて良くは見えないけれど、おじさんはジッパーから何かを取り出していた。
 きっと、おじさんのペニスだ。
 理解したのと同時に、あたしの後頭部が浮いた。

 いくら薄闇に目が慣れたとはいえ、視界は未だに薄暗くて全貌ははっきりと見られない。
 だけどあたしの目の前に添えられているのがおじさんの楔だっていうことは判った。

 唇がちくちくする。

「――ん」
 根元からびっしり生えた陰毛があたしの唇に当たっていた。

 その楔はお世辞にも良い匂いなんかじゃなくて、汗と尿。それからアルコールが混ざった生臭いものだった。

「や、これっ、ダメッ!」
 あたしは顔を逸らしてむせ返りそうな匂いに堪える。
「これとはなんだ! 旦那様のペニスだぞ? お前の局所を散々舐めてやったんだ! わたしのペニスも舐めなさい!」
 あたしの顔を固定されて、ペニスが近づく。
 拒み続けるあたしの唇を開くよう、無理矢理押し込まれる。


 だけど――……。
「んむ。んむ。やっ、許して! ダメ、おぇえええっ!」


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