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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第10章 ラブラブデートで蕩ける身体。

 映画の上映時間は13時から。
 まだ開始まで時間はあるからと、先にお昼をしようっていうことになった。

 あたしは気分を取り直してご飯に集中!
 そうしたら、唯斗さんのほっぺたにキスしたっていう恥ずかしい気持ちもどこかへ行った。
 色気より食い気が勝ったのかもしれない。
 ゲンキンなあたし。

 そんな食事中でも実感するのは、やっぱり唯斗さんが大人っていうこと。
 大学であったこととか、お父さんがどんなに普段だらしないかとか、とにかくあたしばっかり話してしまうんだ。
 それなのに、唯斗さんは相づちを打って、時には賛同してくれたり、あたしの気持ちを汲み取って会話してくれる。

「でね、お父さんってばね、靴下、脱ぎっぱなしなんだよ? しかも裏返したまま!! せめてカゴの中に入れてってどんなに注意しても直さないし……」

 ――って、唯斗さんが笑ってる。
 薄い唇の前に拳を作って何とか笑うのを我慢しているって感じだった。

「あたし、話しすぎ? ヘン?」

 いくら聞き上手な唯斗さんでも疲れるよね。
 焦ったあたしは唯斗さんにごめんなさいって謝ると――。

「いや、可愛いなって思って」
 はうっ!
「――っつ!」
 何ですかその返し!
 今日で何回目になるだろう、『可愛い』を口にする。

 また顔がトマトになっちゃうよ!
 唯斗さんってば恥ずかしいことをあっさり口にする時があるから困る!

 せっかく忘れかけていたのに、また赤面をぶり返してしまう。


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