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乱世に生まれた女たちの運命
第4章 人買いの話
「この娘を売りてえ、いくらになる」
今日もまた雑兵たちが女を連れてきた。どこかの村で戦が続いているからだろう。
見ると女は3人、ぼろ布を着せられていた。年は数えで15、17くらいか。女の値段は若さと器量と生娘かで決まる。
若さは十分、器量は申し分ないが雑兵たちに捕らえられた後だ、傷物にされてるのは間違いない。
「これでどうだい。3人で600文だ。おっと文句なら聞かねえよ。嫌なら他を当たりな。」
「もう少しならんか。見ろ。若い娘っ子だぞ。」
「なら生娘のまま連れてきたらどうだい。ほら、女を置いて帰んな。」
口の減らん雑兵たちは文句を言いながら去っていった。
奴らも普段は百姓やどこかの丁稚だ。戦とみると出ては米や家財を盗み、女をとらえて銭稼ぎをする。奴らも明日は分からぬ身だ。
病で死ぬ、飢饉で死ぬ、戦で死ぬ。常に死が付きまとう世だ。

「おい、この女たちの身づくろいだ」
奥に声を掛けたら、襖を開けてのろのろと女が出てきた。
この女も戦で家族を失い、故郷を追われた身だ。
俺も一人じゃ商いは出来ない、人手がいった。この女も流れ流れてここへ来た。
売られていく女を見て何を思うのだろうか。男の俺にはわからん。

俺も初めはかわいそうでならんかった。戦で男に弄ばれ、家族を殺され、故郷を離れ、これからどうなるかもわからぬのだ。
だがこの商いは金になる、ただそれだけの話よ。お人よしが馬鹿を見る世だ。

かつて俺の村でも戦があった。俺がまだ幼い時だ。
斬り合う男たち、逃げ惑う女や子、叫び声や悲鳴であふれていた。
戦が終わると勝った奴らはやりたい放題やる。
女が犯られているのを見たのはそれが最初だった。
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