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華のしずく~あなた色に染められて~
第25章 【花屑(はなくず)~華のしずく~】
秀継が小さく肩をすくめ、久方ぶりに逢う姉弟は互いに肩を見合わせて笑った。幼いときより仲の良い姉弟であった。幼くして親元を離れ遠い青龍へやられ、肩を寄せ合うようにして育ったのだ。寧子もまた他の者たちと同様、無口で粗暴な秀康よりも大人しやかな秀継の方を可愛がった。
しかし、当の秀継の方は違っている。いくら自分より体格の良い弟に苛められても、秀継は悪戯して大人に叱られている秀康を庇った。寧子には、何故、秀継が秀康を庇おうとするのか判らなかったのだ。
「よろしうございます。他ならぬ秀継殿の頼み、当家に出入りする布を商う商人がおりますゆえ、その者に申しつけて良い品を取り寄せましょう。帰蝶殿にはどのような色柄がお好みでしょうか」
しかし、当の秀継の方は違っている。いくら自分より体格の良い弟に苛められても、秀継は悪戯して大人に叱られている秀康を庇った。寧子には、何故、秀継が秀康を庇おうとするのか判らなかったのだ。
「よろしうございます。他ならぬ秀継殿の頼み、当家に出入りする布を商う商人がおりますゆえ、その者に申しつけて良い品を取り寄せましょう。帰蝶殿にはどのような色柄がお好みでしょうか」