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華のしずく~あなた色に染められて~
第25章 【花屑(はなくず)~華のしずく~】
「姉上、布はまた後日、頂きにお伺い致しまする。その中、義父上とご一緒に参りますよ。義父上も二人の孫姫に逢うのを愉しみになさっておいでですから」
 慌てて帰ろうとする秀継が一礼して、踵を返す。庭に降り注ぐ昼の陽に寧子は眩しげに眼を細めた。と、秀継の後ろ姿が一瞬、春の光に溶け込みそうになった。寧子はハッとした。その時、弟が陽の光に透けて、まるで陽炎か何かのように儚く消えてしまいそうな錯覚に囚われたのだ。寧子は秀継の後ろ姿に思わず声をかけていた。
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