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華のしずく~あなた色に染められて~
第28章 【剣(KEN)~華のしずく~】 運命の邂逅
老婆の独り言はか細く、言った当人しか聞こえていない。その不吉な、謎めいた予言は空しく消え果てた。老婆は言い終えると、また眼を閉じた。辻占の老婆は今日も何事もなかったかのように、その場所に座っている―。
「親分、親分」
ますます早足になった青年を、浅太が息せき切って追いかける。青年は振り向きもせずに歩きかながら言う。
「何度言ったら、判るんだ。親分ではない、お頭(かしら)と呼べと言っただろう」
「親分、親分」
ますます早足になった青年を、浅太が息せき切って追いかける。青年は振り向きもせずに歩きかながら言う。
「何度言ったら、判るんだ。親分ではない、お頭(かしら)と呼べと言っただろう」