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華のしずく~あなた色に染められて~
第30章 【剣(KEN)~華のしずく~】 闇に喚ばれし者
茫然と呟く龍伍に、浅太が淡く笑った。
「俺を見くびって貰っちゃ困るよ。兄貴。これでも、兄貴とずっと一緒にいたんだ。考えそうなことくらい、判るさ」
浅太は昔のように龍伍を「兄貴」と呼んだ。真の兄弟のように肩を寄せ合って生きてきた日々。十三年間の記憶が浅太の中で次々と蘇っては、消えていった。
「留五郎親分に兄貴のことを知らせた。おっつけ、お役人がここへ来る手筈になってる」
浅太が歌うような調子で言った。
「俺を見くびって貰っちゃ困るよ。兄貴。これでも、兄貴とずっと一緒にいたんだ。考えそうなことくらい、判るさ」
浅太は昔のように龍伍を「兄貴」と呼んだ。真の兄弟のように肩を寄せ合って生きてきた日々。十三年間の記憶が浅太の中で次々と蘇っては、消えていった。
「留五郎親分に兄貴のことを知らせた。おっつけ、お役人がここへ来る手筈になってる」
浅太が歌うような調子で言った。