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華のしずく~あなた色に染められて~
第30章 【剣(KEN)~華のしずく~】 闇に喚ばれし者
 今日も江戸の町は大勢の人出で賑わっている。小さな骨董屋の主人は得意先へ品物を届けた帰り道、ふと呼び止められた。
「よろずやの旦那」
「おう、婆さんか」
 主人は、でっぷりと超えた身体を面倒くさそうに屈めた。龍伍にあのいわくつきの剣を与えた男である。声をかけたのは、辻占の婆さんであった。婆さんは、今日もあの日と同じように、同じ場所に筵を敷いて座り蹲って、道行く人を無表情に眺めている。
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