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華のしずく~あなた色に染められて~
第3章 【華のしずく】~夏雷~
 その朝、珠々は城門の前まで出て、家臣たちと共に信成の出立を見送った。信成は愛馬の鹿毛に跨り、鎧姿も凛々しく堂々たる居ずまいを見せていた。馬に乗った時、信成が一度だけ振り向いて、珠々の方を見た。
―殿。
 思わず叫んで走り出したい衝動に駆られ、珠々は我が身を押さえた。
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