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華のしずく~あなた色に染められて~
第3章 【華のしずく】~夏雷~
楓の言葉に、珠々は頷いた。珠々は元々格別に迷信深いわけではなかったが、藁にも縋りたい気持ちがあった。それに、珠々の心を慰めようしてくれる楓の心遣いを無駄にしたくはなかったのだ。
城に戻った珠々は、自分の部屋の廊下に座り、庭を眺めた。この季節、石榴はみずみずしい緑の葉を眩しい陽光に輝かせている。この樹に実がなるのは、まだ少し先の秋を待たねばならない。珠々がそんなことを考えていると、背後で衣擦れの音が聞こえた。