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華のしずく~あなた色に染められて~
第1章 【華のしずく】 ~出逢い~
―かか様、麻阿、小吉!
連れ去られる珠々の脳裡に、母や弟妹たちの顔が浮かんで消えた。何故、自分が突如として、このような不条理な目にあわねばならないのか、珠々には見当もつかなかった。ただただ恐慌を来す中で、珠々は大切な家族を呼んだ。
しかし、珠々の叫びが彼等に届くはずもない。珠々がいた川辺には、空の籠や洗濯の終わったものだけが残された。最後に珠々が眼にしたのは、紅く色づいた石榴の鮮やかな色であった。