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華のしずく~あなた色に染められて~
第3章 【華のしずく】~夏雷~
 ふいにどこかから風が吹き抜け、珠々は小刻みに身を慄わせた。水無月の夜風が冷たいはずもなのいに、まるで得体の知れぬ魔物にヒヤリとした手でひと撫でされたように躰が冷えた。珠々は我が手で自分の躰をギュッと抱きしめた。しきりに胸騒ぎがしてならず、それは、ひと月以上も前、信成が藤堂鷹虎との戦に出てゆくときに感じた以上のものであった。
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