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華のしずく~あなた色に染められて~
第4章 【華のしずく】~試練~
珠々は今こそ悟った。信成は秀吉に隠密裡に使者を出し、自らの生命と引き替えに、珠々の身の安全と保護を懇願したのだ。だからこそ、つい先刻まで敵方の兵のときの声やら銃声やらが騒がしいほど聞こえていたのに、ふいに敵方の総攻撃がびたりと止んだのだ。恐らくは総大将の秀吉の命で珠々を秀吉の陣へと連行する一刻の間、攻撃を止めさせたのであろう。
だが、愛する良人と離れて、珠々に何の生きる意味があるのだろう。珠々の幸せは、信成あってこそのものだったというのに。
だが、愛する良人と離れて、珠々に何の生きる意味があるのだろう。珠々の幸せは、信成あってこそのものだったというのに。