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華のしずく~あなた色に染められて~
第4章 【華のしずく】~試練~
武人(もののふ)らしい大きな手のひらは、数々の戦で受けた疵痕が無数に残されていた。しかし、珠々が驚愕したのは、その疵ゆえではない。彼の無骨な手には、ひと房の黒髪が添えられていた。いつのまに切ったのだろうか、その髪は信成のものに違いなかった。
「―殿」
珠々が信成を見つめると、信成は静かなまなざしで頷いた。
―ああ、良い瞳(め)をしておいでになる。
珠々は心から思った。今の信成の眼は、晴れ渡った蒼穹のように澄んでいた。
「―殿」
珠々が信成を見つめると、信成は静かなまなざしで頷いた。
―ああ、良い瞳(め)をしておいでになる。
珠々は心から思った。今の信成の眼は、晴れ渡った蒼穹のように澄んでいた。