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華のしずく~あなた色に染められて~
第4章 【華のしずく】~試練~
「達者でな」
 珠々は信成の顔をじっと見つめた。秀でた額、整った鼻梁、端整な顔立ち―、すべてを永遠に心に刻みつけ、その面影を灼きつけておこうと食い入るように愛する男の顔を見た。
 最後に、信成はそのひと言と共に、呆気ないほどの潔さで珠々に背を向けた。珠々の手のひらには、信成の形見となるひと房の髪の毛だけが確かな手触りを伴って残された。
―殿、信成様ッ!
 珠々は心の中で絶叫した。
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