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華のしずく~あなた色に染められて~
第5章 【華のしずく】~永久(とこしえ)~
たかだか女一人にいかめしい屈強な大の男が数人、常にその身辺を見張っている。それは、いささか滑稽なほどの警戒の仕方であったが、佐竹家の残党が亡き主君信成の妻であった珠々を旗印にして佐竹氏再興の挙兵を起こさないとも限らない。それを羽柴側が懸念しての処置であった。
青竜の国は東方に位置し、冬の寒さは格別である。山国のここは、真冬には雪と氷に閉ざされた白一色の沈黙に満ちた世界となる。だが、今、山々は束の間の緑と眩しい陽光に覆われ、東国の短い夏は盛りを迎えていた。
青竜の国は東方に位置し、冬の寒さは格別である。山国のここは、真冬には雪と氷に閉ざされた白一色の沈黙に満ちた世界となる。だが、今、山々は束の間の緑と眩しい陽光に覆われ、東国の短い夏は盛りを迎えていた。