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華のしずく~あなた色に染められて~
第1章 【華のしずく】 ~出逢い~
「良い、そのように強がっていられるのも今の中よ。好きにさせておけ」
男の一声で、楓と呼ばれた老女は渋々頷き、珠々から手を放した。楓に導かれて珠々はまた、別室に連れてゆかれた。城内の廊下は丹念に磨き上げられており、幾重にも折れ曲がっている。いかほど歩いたかも判らぬほど歩き、やっと辿り着いた先がどうやら珠々に与えられた部屋のようであった。その部屋だけでも、森の中の珠々の住まいよりもはるかに広い。